いのまるの秘密基地

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Outer Wildsレビュー:22分後に太陽が爆発!この宇宙の謎を解き明かせ【ネタバレなし】

Nintendo Switch版が発売予定のOuter Wilds(アウターワイルズ)+追加コンテンツEchoes of the Eye(エコーズ オブ ジ アイ)を、一足先にEpic Games版でクリアしました。この記事ではOuter Wildsの面白さやおすすめポイントを、ネタバレなしで綴ってみます。

 

【おさらい】Outer Wildsってどんなゲーム?

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Outer Wildsは、架空の太陽系を舞台にした宇宙の冒険物語
あなたは新米宇宙飛行士として、今日が記念すべき初飛行!この星に過去に存在した古代種族Nomaiのテクノロジーを利用して改良を重ねた探査機リトル・スカウトや親友のHalと作り上げた古代語翻訳機、どんなに距離があっても波長を捉えられるシグナル・スコープ、そして相棒となる宇宙船とともに、大いなる宇宙に向けて旅立とう

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ところが、宇宙に出て約20分後、突如太陽が超新星爆発を起こし、あなたはこの世界ごと儚く散ってしまう。そしてなぜか再び焚き火の前で目を覚ます。死んだ記憶は確かにあるのに、不思議なことにまるで時間が戻ったよう。というか間違いなく時間が巻き戻ってる。

  • なぜタイムループが起きているのか?
  • なぜ古代種族ノマイは滅びたのか?
  • この宇宙に秘められた秘密は何か?

太陽が爆発するまでの時間はたった22分。何度も冒険を繰り返し、世界の謎を解き明かす冒険をしよう。

追加DLC

2021年7月30日に追加DLC「Echoes of the Eye」が発表されました。配信は9月28日(現地時間)です。Nintendo Switch版には全部入りでの発売になることに期待しましょう!

Outer Wildsの受賞歴

Outer WildsはGiant Bomb、Polygon、Eurogamer、The Guardianのゲームオブザイヤー2019などにノミネートされたほか、数々の賞を受賞。詳細は Outer Wilds #受賞 - Wikipedia を参照。

エグゼクティブ・プロデューサーはあの有名人

Outer Wildsのエグゼクティブ・プロデューサーは、海外ドラマ『HEROES』でその知名度をあげた日本人俳優マシ・オカ氏。マシ・オカ氏は自身が創業したゲーム開発会社Mobius DigitalにOuter Wilds開発チームを雇い入れ、エグゼクティブ・プロデューサーとして携わってるとのこと。クリア後のエンドロールで氏の名前を見つけてびっくりしてしまいました。

 

引き算の美学

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突然ですが、最近のゲームボリューム多すぎやしませんか?AAAタイトルだと標準プレイ時間が100時間超なんてこともザラで、クエストが数千個あってやり尽くせない!なんてことを売りにしてるタイトルもあるほど。

いのまるが個人的に感じている多くのゲームの問題点のひとつとして、面白さに直結しない要素の多さがある。コンテンツやプレイ時間の水増しのように感じられるサイドクエストや収集要素が多く、その結果「このゲームの面白さって一体なんだろう?」と頭を抱えるということもままある(もちろんそのコンテンツに面白さを感じるかどうか、プレイするかどうかはプレイヤー次第)。

その点Outer Wildsは、その「面白さ」の実現のために不必要なものは削ぎ落としている。困っているNPCにお使いを依頼されることもないし、カジノやミニゲームもない。このゲームでプレイヤーに体験させたいことは何か、このゲームで伝えたいことは何か、そしてこのゲームの「面白さ」とは何かを徹底的に追求し、それを阻害する要素は徹底的に排除されている。まさに引き算の美学

宇宙なのに狭い

Outer Wildsの世界は宇宙を舞台にしているのに、とてもコンパクトに作られている。宇宙船で飛び立って5秒後には大気圏を突破できるし、太陽系の一番外周を回っている惑星にでさえ30秒もかからずたどり着ける。反面、惑星に降り立って探索するとかなり広くて、ときには迷子になるほど。手段である移動は引き算で省き、心ゆくまで(ただし太陽が爆発するまでの短時間)探索に集中できるようにデザインされている。

宇宙の調べ

Outer Wildsの世界では、ヒントらしき意味ありげな石版を見つけてもファンファーレは鳴らないし、宇宙が舞台だからって安易に荘厳な音楽を流したりもしない。音楽やSEにも引き算の美学がある。

基本的に真空状態である宇宙はとても静か。静かだからこそ生まれる緊迫感や恐怖、静があるから引き立つ宇宙船のジェット音や巨大生物の息づかい、パチパチと音をたてる焚き火、そして宇宙に散り散りになっている先輩宇宙飛行士たちが奏でる楽器の音。星々を探索してみれば、砂に埋もれた惑星では流砂の音、崩壊しつつある惑星では地盤が崩れる音などといった自然の音と、古代種族が残したテクノロジーによる神秘的な音が不思議と調和する。時折静かに流れる音楽も、ストーリーの盛り上がりに合わせて高揚感のある音楽に変わる。そのメリハリが、絶妙な没入感をもたらしてくれる。

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太陽系の端っこまで飛んでみて、先輩飛行士たちの演奏を勝手に合奏させてみるのも◎

 

Outer Wildsの「面白さ」とは何なのか

Outer Wildsの面白さは引き算によって増幅されているとはいったものの、ではその「面白さ」とは一体なにか。
はじめは、Outer Wildsの楽しさとはすなわち「探索」の楽しさだと考えていた。自分が住む星にさえ宇宙から飛来した物体によるクレーターがあるし、月に降り立てば誰も会いに来てくれないことにちょっと拗ねている先輩宇宙飛行士に出会える。太陽系の果てには難破したような無人の宇宙船が漂っているし、崩れ行く惑星の中心にはブラックホールがある。「探索」は確かに楽しいが、Outer Wildsの面白さを表現するには少し物足りない言葉な気がしていた。

「探究心」の醸成

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ズバリ言ってしまえば、Outer Wildsの面白さは「探究心」の醸成にあると思う。あの星には何があるんだろう、なぜこの太陽系最後の22分をループしてるんだろう、なぜ古代種族は滅びたんだろう、そもそもこのゲームのクリアとは何を指すんだろうと、子どものように「なぜ?」と「なに?」が止まらない仕掛けになっている。遺跡の行き止まりやフィールドの隅っこに世界観にそぐわない不自然な宝箱を置かなくても、プレイヤー自身がわくわくして探索したいと思わせるような「探究心」を芽生えさせる仕組みが隠されている。そしてその「探究心」は、かつて古代種族ノマイたちが持ち、今は先輩宇宙飛行士たちとひよっ子宇宙飛行士のプレイヤー自身が持ち、そして未来においてもきっとその時代の担い手たちが絶やさずに持ち続ける心だと思う。

「探究心」をくすぐるうまさは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に通ずるものがある!

知は力なり

f:id:Innomaru:20210302030359j:plainOuter WildsはRPGではないので、キャラクターのレベルは存在しない。冒険に必要なアイテムははじめからすべて揃っているし、徐々に扱えるアイテムが増えて探索できるエリアが広がるなんてこともない。でも秀逸なレベルデザインがなされている。それを成しているのが「知識」。
はじめはわけも分からず超新星爆発に巻き込まれて死ぬと思う。宇宙に身体一つで放り出されて、どの星にもたどり着けず酸欠で死ぬことあると思う。ときには行きたい場所にいけないもどかしさも味わうと思う。でも冒険を繰り返すうちに次第に古代種族ノマイの足跡をたどり、「知識」を得、ひとつずつ謎が解け、もっと大きな謎にぶつかり、そして最後に真実が明らかになるというレベルデザインとストーリーテリングは、秀逸としか言いようがない。

 

癒し系の先輩飛行士たち

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宇宙の旅はとても孤独で困難だ。お世辞にも完璧とはいえない自動航行システムで経路にある惑星に突っ込むことだってあるし、探索中に酸素切れで呼吸困難になってしあうこともある。どんなに慎重に探索しても、最後には太陽の爆発で死んでしまう。

そんな中でも道標となるのが、宇宙の各地に散らばっている先輩宇宙飛行士たち。みなそれぞれ楽器を持ち(または口笛を吹き)、気ままに振る舞っているように見えてちゃんと道を示してくれる。「ひよっ子」なんて呼ばれてもぐっと堪らえよう、何しろその人は最古にして凄腕の宇宙飛行士なんだから。道に迷ったら、先輩を探し話を聞いてみよう。

 

Outer Wildsはこんなキーワードに興奮する人におすすめ

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  • SF
  • 宇宙
  • タイムループ
  • 量子力学
  • シュレーディンガーの猫
  • 物理演算
  • 古代文明
  • 遺跡
  • 伏線回収
  • オープンワールド
  • 映画『インターステラー』

 

まとめ

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Outer Wildsをプレイしている最中は(なんなら今も)まさに虜。アレはアレなのか?コレがソレなのか?アソコはアレなのか?とずっと頭から「???」が離れない状態でした。

実はOuter Wildsの日本語版はその翻訳の出来に改善の余地が残るものでしたが、Nintendo Switch版に合わせて改善の予定とのこと。これからプレイできるみなさんは、もっと深くOuter Wildsの世界にのめりこめること必至で羨ましい限り。このゲームをプレイするにあたっては、極力ネタバレを避けるように、情報を絞ったほうがいいです。楽しんでくださいね!

 

プレイ日記はこちら

いのまるのOuter Wilds初見プレイ時の日記がこちら。主に自分用の謎の整理とかタスクの整理とかを兼ねたものなので、読み物としてはあまりおもしろくないと思います。
プレイ日記はネタバレを含む可能性があるので、ちょっとでもプレイしようかなーと思っている方は読まないほうがいいですよ!