いのまるの秘密基地

ゆるげーまーのひとりごと。

ディアブロ4 OBTレビュー:待望のシリーズ最新作、絶対買い!

 

まえがき

このレビューは、2023年3月末に実施されたディアブロ4(以下D4)のオープンベータテスト(以下OBT)の感想を綴るものです。想定読者はD4正式発売前にゲームの概要や特徴、OBTプレイヤーの評価を知り、購入するか否かを判断したい方々です。
開発チームへ向けた改善フィードバックではありませんので、悪い点にはあまり言及しません。購入をためらうような致命的な問題はなかったことと、気になる点は発売までに(またはアプデで)改善されていくことが過去のディアブロシリーズの運営実績で分かっているからです。

公正な評価を心がけるため以下の点に配慮しています。

  • 取り返しのつかない内容か、アプデで対応できる内容か
  • ベータの内容で判断するには早計ではないか
  • 比較対象は適切か

今回OBTでプレイできたのは、ゲームの最序盤(ストーリーモードは全7章ある内の第1章だけ)です。何か別のゲームと比較するとしたら、そのゲームの発売直後の状態であるとか、ゲーム開始から15時間程度の難易度ノーマルのストーリーモードと比較すべきであると考えます。例えばディアブロ3(以下D3)などでエンドコンテンツを周回できる状態と比較しても、そもそものゲーム性が異なるためあまり意味がありません。

考え方は人それぞれだと思いますが、自分はOBTに何を求めていたかというと「ゲームのコアとなる部分を体験でき、そこに楽しさを感じられること」でした。これは言い換えると、荒削りで未調整な部分や細かいバグや翻訳ミスなど、後からどうにでもなるものは許容できるということです。
そしてOBTで全5クラスをレベル25(上限)までプレイした結果「アプデやバランス調整でも解決が難しいゲームのコアとなる部分に致命的な欠点はあるか?」という問いを立てるならば、答えはNOでした。コアとなるゲームの楽しさは十分に感じられワクワクしながら正式発売を待つことができ、またディアブロシリーズをプレイしたことがない方々へも自信を持っておすすめできると感じました。

レビューは各項目について、ディアブロシリーズやD4OBT未プレイの方にも伝わりやすいように簡単な説明を交えながら書いておりますので、プレイ済みの方は適宜斜め読みをお願いいたします。

 

ストーリー

オープニングのシネマティック~プレイ開始の30分で、グッと心を掴まれました。プレイヤーとして降り立ったサンクチュアリの世界がどんな場所なのか、これからどうなってしまうのかをまざまざと見せつけるような素晴らしいプロローグです。
そしてOBTでプレイ可能だった第一章の中にもドラマがあり、イントロとしての掴みとそれ以降の章への引きをもたせた素晴らしい語り口で、ストーリーテリングが従来のディアブロシリーズから飛躍的に向上しています。特にサンクチュアリがどんな世界でどんな状況でどんな人々がいるということを無理なく伝えられている点が、特にシリーズ未プレイの方にとっていい導入になっていると思います。

過去作においてはクリアしてからが本番とか、ストーリーはどうでもいいというプレイヤーが一定数いた(人のことは言えない)と思いますが、今作はストーリークリアまでの作り込みにも期待できそうです。ディアブロの世界観を知りもっと好きになる、そんな仕上がりだと思います。

 

グラフィック

グラフィックは仮にOBTで課題があったとしても影響範囲が広く修正も難しい部分です。
個人の好み(リアル調が好きとかトゥーン調が好きとか、ゴア表現への耐性とか)によらない評価基準があるとすれば、それは世界観の構築の緻密さや、統一感であるとか整合性だと考えています。その点、サンクチュアリへの没入感を阻害するようなグラフィックのズレのようなものは感じず、ディアブロの世界を表現するにあたり、最善を尽くし完成されていると感じました。ディアブロの世界を表現するグラフィックはかくあるべしという哲学を持ち、その軸からまったくブレずに表現されているという点において、グラフィックチームに最大級の賛辞を送りたいです。

キャラクターメイキング

キャラメイクは、以下の項目について行えました。

  • 性別(2種)
  • 顔のテンプレ(8種)
  • 顔の各テンプレ内でのバリエーション(4種)
  • 眉(8種くらい?)
  • 髪型(30種くらい?)
  • 肌、髪、瞳などの色(カラバリほぼ無限)
  • タトゥー
  • アクセサリー(ピアスなど)

一方、身長/体格/目/鼻/骨格といった、グラフィック重視のMMORPGでよくある細かなカスタマイズは行えません

個人的にはあまり細かなカスタマイズを求めていないので十分でしたが、キャラクターへの思い入れを強く持ちたい方には物足りないかもしれません。

もともと開発チームはディアブロの世界観を重視しているため「ファンタジー」の実現に力を入れています。ここでいうファンタジーとは、「バーバリアンって屈強であるべきだよね」とか「ローグは軽やかに動けて欲しいね」といった、パブリックイメージという意味合いです。そのため「マッチョな魔法使い」「ハリウッド女優のようなドルイド」といったキャラクターは作れません。これは人によっては固定観念、あるいは多様性の欠如と受け止めるかもしれませんが、ゲームデザイン上仕方ないと割り切るほかなさそうです。

 

サウンド

BGMや環境音など世界にマッチしています。出しゃばらずに裏方に徹していることで、没入感をもたらすのに大きな役割を果たしていると感じました。サウンドについて細かいことはよく分からないですが、味気ない感じもなく、違和感もないというのは絶妙な仕上がりになっているということだと思います。

 

アクション

アクションRPGとしての手触りは良く、各種モーションや操作レスポンスなども良好でした。D3のコンソール版で申し訳程度に追加された回避アクションがしっかりとシステムに組み込まれているのも高評価です。回避のクールダウンが5秒とやや長い(クラスや装備によりCD短縮する手段はある)のは気になりましたが、あまり乱発できてしまっては防御系スキルやアクションゲームとしての立ち回りを殺すことになりかねませんし、現状よりもさらに良くしたいという観点で何ができるかというと難しそうだと感じました。パリィなどを駆使するようなガチガチなアクションゲームではないので、現状で十分だと感じました。

 

コンテンツの評価

サイドクエスト

RPGでおなじみのサイドクエスト。OBTだけでも消化しきれないほどのボリュームでした。特に良かったのは、フィールドを探索しているときにドロップしたアイテムからクエストが発生するケースもあり、装備のドロップ以外で「おっ?」と思え探索のいいスパイスになっていると思いました。

一番のお気に入りは行方不明になったクリスティナの旦那を探すクエスト。普通のゲームならトラブルに見舞われたけど間一髪救い出すことができたとか不運にも死んでいたとかが既定路線ですが、D4においては「嘘でしょ?!」と思うような結末を迎えます。これぞディアブロ。

またシスター・オクタヴィアなど特定の人物の顛末を見届けるような連続するクエストもあり、サンクチュアリに生きる人々を垣間見ることができました。

ダンジョン

ダンジョンは主に「力の古文書」(詳細後述)の精髄の入手手段であったり、ときにクエストの目的地にもなるインスタンスです。「力の古文書」での精髄を各地のダンジョンで入手できるという仕組み上ダンジョンの数が多くなっており、差別化やマンネリ防止の工夫としてさまざまなギミックを仕掛けているものと考えています。
ギミックはあればあったで面倒くさいという意見もでれば、なかったらなかったでどのダンジョンもただ敵を倒すだけで単調だという意見も出ると思いますので、それ単体で良し悪しを判断できません。

ダンジョンのギミックについて懸念するプレイヤーが多いのは、将来的にエンドコンテンツがダンジョン周回になるとしたら苦痛に感じるという点だと思います。確かにダンジョン内で中央の扉を開けるために左右の道を進み戻ってくるというような構造が多いような気がしました。ただ、その場合でも周回しやすいダンジョンをプレイすれば良いのであって、特段問題とは感じませんでした。
問題が発生しうるとしたら、特定アイテムは特定の1つのダンジョンでしか入手不可という設計をされる(=特定のダンジョンの周回を強要される)場合です。そうならないよう選択肢は常に複数用意しておくか、周回にあたってはギミックやマップ構造を簡素化して欲しいと思います。

なお、ダンジョンを「ナイトメア・ダンジョン」にアップグレードして難易度を上げるのがエンドコンテンツの目玉です。ナイトメア・ダンジョンにおいては別途ダンジョン内容が変貌する仕組みがあるので、通常のダンジョンで行うような扉を開けるようなギミックがそのまま残るかは分かりません(残らないといいな…)。

Fresh meat!(生きのいい肉だ!)

ディアブロシリーズでおなじみのブッチャーももちろん登場します!OBT未プレイの方から初遭遇時の驚きを奪いたくないので、出現場所などは内緒にしておきます。
なお、OBT期間内にブッチャーに倒されたプレイヤー数は1,727,973人でした!

ランダムイベント

ランダムイベントは、ワールドの各地で発生しているイベントです。
クエストとして受注しているわけではないため消化しなきゃという義務感はなく、経験値やつぶやきのオボールなどを報酬として得られます。ときには通りすがりのプレイヤーと協力することもあり、でもパーティーを組む必要もなく気軽に取り組める上に、参加するもしないもプレイヤーが決められるという開発チームの意図しているものをしっかり実現できています。
ストーリーやサイドクエストの目的地への移動の面倒くささを薄めるコンテンツとしてしっかり機能していて、好評価です。

拠点

悪魔に占拠されている拠点を開放することで、新たな街やウェイポイント、サイドクエストやダンジョンなどが開放される仕組みです。他のゲームでもよくある仕組みで目新しさはないとは思いますが、しっかりとディアブロの世界観に落とし込めていると感じたので好評価です。

ワールドボス

OBTではレベル25の「アシャバ」が登場しました。想像よりもアグレッシブに動き回って驚きました。現時点で「アシャバ」の他に「アヴァリス」「彷徨う死体」の実装が判明していて、そちらも楽しみです。

ワールドボスについては懸念がいくつかあります。

  • 時間指定
    OBTにおいては週に1日、一日4回出現しました(正式発売後の出現スケジュールは不明です)。ゲーム内イベントに合わせてリアル予定を調整するのは窮屈なので、出現回数が増えるなどの調整があればいいなと思います。
  • マルチプレイのスケーリング
    オープンワールドの仕様上、その場に居合わせる他のプレイヤーが適正レベルとは限りません。ワールドボスの強さやライフが、単純にプレイヤー人数に応じたスケーリングではない練られたものであることを期待しています。
  • 移動速度
    ワールドボスは巨大なためカメラが自動的に引きになります。そのためプレイヤーの移動速度が相対的に遅くなり、体験を損ねているように感じました。

リリスの祭壇

各地にある像を調べることで、そのエリア内において永続バフを得られる仕組み。要はワールドを探索させる動機づけを行う仕組みではあるものの、個人的には好感触でした。

理由はディアブロの世界観やストーリーを想像する余地があるという点です。
リリスはオープニングからストーリーの導入まで大ボスとして描かれてるように感じます。そのリリスを信仰するような彫像を「破壊」して支配力・影響力を弱めるのではなく、「調べる(言い換えると参拝する)」ことでバフを得られるので、「リリスの帰還によりサンクチュアリが崩壊の危機に瀕しているというのは事実なのか?リリスだけが原因なのか?」という疑問が頭をよぎります。
さらにイナリウスを信奉する勢力が狂信的だったりイナリウス自体もだいぶ怪しい感じがあるので、イナリウス(大天使)=善、リリス(悪魔)=悪という善悪二元論では済まないストーリー展開が起こりそうな予感も掻き立てます。

 

ゲームシステムの評価

クラスバランス

現時点においてはどんな装備があるか全貌もわからず、「どのクラスのほうが強い/弱い」という観点で評価するのはナンセンスだと考えています。その上で、「このクラスは特別弱い」という印象はありませんでした(ドルイド以外)。

バーバリアンは一撃当たりのダメージが高く爽快感があるビルドを組め、強靭な肉体を持つキャラクターに持つファンタジーを実現できています。基本的に怒気(リソース)回復のためにも近接戦闘する必要があり、ボスの攻撃範囲や移動範囲の広さに対応するため一番アクションゲームらしい立ち回りを要求される点で序盤の難易度は高いかもしれません。
ローグは機動力や手数、戦略性の高さが楽しく、注入スキルによる戦闘スタイルの変化も存分に楽しめました。
ソーサラーはシリーズ作と大きな路線変更はないものの、エンチャントメントスロットによりビルドの幅が生まれ新鮮味もありました。マナの自動回復量が多すぎるのがヌルゲーに感じましたが、初心者向けクラスとして捉えればそれも悪くないかと思います。
ネクロマンサーは従来よりも骨/血/闇といったコンセプトをより明確に打ち出している上、召喚を生贄として捧げることでキャラクター自身を強化するという選択も取れるようになりました。
ドルイドはD3にはいなかったクラスですが、自然魔法と人狼/人熊変身を使いこなす独特な使用感です。ディアブロ2リザレクテッド(以下D2R)よりも変身スキルが使いやすくなった一方、召喚を軸にしたビルドが組みにくそうな印象を受けました。

総じてD3よりもクラスごとの特徴を明確に打ち出そうという姿勢を感じられ、クラスバランスは良くなりそうな印象を受けました。

ビルドの幅/多様性

OBTの内容でほぼFIXなのかどうかはわかりませんが、スキルツリーが開発状況ブログで公開されていたものよりもずっとシンプルな構成になっていました。基本的には上から下に流れる一方向のツリーで、7種のクラスタごとにスキルを取捨選択していくような仕組みです(基本クラスタ以外は、このクラスタのスキルは取得しないという選択も可能)。

シンプルになった理由のひとつは、1つのスキルに対する強化ノードによるカスタマイズが2種類になったことです。現状で2種類なら、将来的なアプデでの追加なども期待しうるので拡張性という点でも英断なのではないでしょうか。D3では1スキルに対して5種類のカスタマイズがありましたが、最終的に使われるのはごく一部でした。重要なのは数ではなくどのようなプレイスタイルの可能性があるかなので、カスタマイズの種類が減っていることは一概に悪いことではないと考えています。

2つ目は、強化ノードによる属性変化が少なめなことです。
スキルは物理/火炎/冷気/稲妻/シャドウの5属性があります。D3では素のスキルだと物理属性のものが、ルーン(D4の強化ノードに相当)により火炎属性に変わるなど、属性を統一したビルドを組めました。D4においては、ソーサラーを除き属性が限定的なため、シンプルになったと言えそうです。

しかし見た目上シンプルだからといって、単純というわけではありません。特にパッシブスキルの数がD3と比べて増えており、アクティブスキルを伸ばして手数を増やすか、パッシブスキルに振って底上げするかという選択も悩ましくなっています。D4においては「覚えるのは簡単だが極めるのは難しい」というコア哲学に則って開発されており、スキルツリーを眺めても「これが最適」というビルドは導きにくいと感じました。

力の古文書

力の古文書は、レジェンダリーパワー(レジェンダリーアイテムについている特性)を装備に付与しすることができる装備強化システムです。能力の付与にはダンジョンをクリアして得られる精髄が必要ですが、どのダンジョンでどの能力の精髄が獲得できるかはマップで確認できるため、装備品のドロップ運に頼らず狙った能力でプレイヤーを強化できる仕組みです。

従来のディアブロシリーズはトレハンが楽しみのひとつではありますが、プレイしてみたいビルドのアイデアはあるけど狙ったアイテムが落ちないという体験の損失が起こりえます。しかし力の古文書システムによりそれが解消され、より自由にビルドを楽しむことができるとても良いシステムだと思います。精髄によって付与する能力は、レジェンダリーアイテム現品と能力は同じですが性能(可変値)が低くなっているというのも、最強アイテムはトレハンで得るというコンセプトを崩さないという調整になっています。

力の古文書についての解説は、こちらの記事をご覧ください。

アイテムのコンセプト(Itemization)

ディアブロシリーズは、強くなるために敵を倒し、倒した敵がドロップした装備でもっと強くなるというハクスラが大きな魅力のため、アイテムのコンセプト(どのアイテムがどんな役割/バランスになっているか)が非常に重要です。
OBTではユニークアイテムはドロップしない仕様(※)でしたので、主にコモン/マジック/レア/レジェンダリーのレアリティ(等級)についての評価となります。(※ユニークのドロップはワールドティア3以降だが、OBTではティア2までしかプレイできなかったため ※ブッチャーのみ例外でユニークドロップがありましたが、おそらく固定ドロップなので評価対象外)

まずシリーズ作の課題が解消されるのかという観点で見るため、過去作の仕様をおさらいです。
D3においては最終的にレジェンダリー/クラフト以外はコモン/マジック/レアどれも不要で分解して素材にする以外の用途がありませんでした。
D2Rにおいてはコモン/マジック/レア/ユニーク/クラフトとそのどれもがビルドにより最終装備になりうるという絶妙なシステムが成り立っていました。

さて、D4のOBT時点においては、レジェンダリーパワー(特性)を抽出して別の装備に付与する仕組みがあるため、その素体としていい特性がついているレアアイテムの価値が高くなるのは容易に想像できました。またD2Rにあったルーンワードはコモン(白)をベースに作る装備でD4にも実装される予定はあるようです。
現時点ではマジック(青)アイテムの価値はまだ不明でした。まだ特性の可変値など全貌が明らかになっていないため現時点で判断はできませんが、D2Rのようなバランスであるといいなと思います。

アイテムのドロップ率

ディアブロシリーズに馴染みのない方は驚くかもしれませんが、自分を含む多くのプレイヤーはドロップ率が「高すぎる」ことに懸念を抱いていました。レジェンダリーのようないわゆるお宝アイテムがボロボロドロップしてしまっては希少価値がなくなるためです。しかし限られた期間内に多くの体験を提供することを目的に、OBTではアイテムのドロップ率が引き上げられた設定となっていたことが、プロデューサーのRod Fergusson氏から明かされました。

ドロップ率がどの程上げられていたかは不明ですが、正式版でのドロップ率が多くともOBTの半分以下だと仮定すると、まったく落ちずにクリアが難しいわけでもなく落ちすぎてトレハンの楽しみが薄れてしまうこともない、ちょうど良さそうなバランスに思えます。

レベルシンク(スケーリング)

OBTで一番賛否ありそうだったのが、プレイヤーのレベルに応じてエリアやモンスターのレベルも上がっていくというレベルシンクの仕組みです。結論から言えば個人的には大きな問題だと感じませんでしたし、バランス調整次第だと思っています。

レベルシンクがなんのために実装されたかといえば、オープンワールドの実現という目的が一番大きいでしょう。広大なマップをシームレスに用意しどこからでも冒険できるようにするには、プレイヤーのレベルで門前払いしないような設計にする必要があります。
また、そもそもディアブロをオープンワールドにする必要がないと考える人もいるでしょう。しかし過去作では地方や街の位置関係などをあまり意識しない細切れのマップだったことがひとつになったことで、個人的にはサンクチュアリの世界に対する解像度が上がりゲームとして大きな進化を遂げたと感じています。

RPGゲームとしてレベルシンクで問題が起こりうるとすれば、それはキャラクターを育てても強くなった実感が得られない場合です。この点についてガチガチなビルドを組まなくても、使えるスキルが増えていったり拾ったアイテムを装備していくことで、強くなった実感をきちんと得られました
もとよりD3のようなドラスティックなダメージ倍率はかけないようなバランス調整を目指しているということもあり、成長の実感は比較的緩やかかもしれません。しかし着実な成長を感じさせるいいバランスになっていると思います。

MMORPG

MMORPGに位置づけられているD4ですが、現状はさほどMMO化による弊害は感じず、いい采配になっていると感じました。

まず同じ画面内にどの程度の野良プレイヤーが集まるか、拠点では最大でも10人以下(?)、フィールドでは2~3人程度でした(PTを組んでいる場合を除く)。天界と地獄界の抗争の舞台と化している荒廃したサンクチュアリを表現するのに、ちょうどいい人数であると感じました。
その人数感を作るために、各エリアは細かくインスタンスが作られていると考えられます。しかしエリアの切り替え時のインスタンスの読み込みでラグがあったり、フィールドからタウンポータルで街に戻り、ポータルでフィールドに戻ったら元いたインスタンスとは別インスタンスに接続されてしまっているような気がしたので、その点は改善されることを願っています。

一方、マルチプレイの恩恵はどの程度あるかというと、基本的にはPTプレイによる経験値ボーナス10%(※)がつくことと、いわゆる身内の場合にはドロップ品を融通しあえることです。また、もし左右に道が分かれるようなダンジョンの周回が必須となった場合には、手分けして進められることなどが考えられます。(※なおPTを組んでいなくても近くに他のプレイヤーがいる場合には5%の経験値ボーナスが付きます。)
しかし現状の難易度バランスであれば、PTプレイが必須(PTを組まないとクリアできない)というようには感じませんでした。最効率を求める場合はマルチ必須となる可能性はありますが、それもひとつの遊び方。ソロプレイだと肩身が狭いようなシステムではないということを強調しておきます。個人的には基本的にソロでマイペースにプレイし、エンドコンテンツの周回などはマルチプレイも織り交ぜていくような遊び方をする予定です。

またOBTで体験できるコンテンツ内には、PTやクラン必須(PTやクランに参加していないとそもそもプレイできない)のようなコンテンツはありませんでした。今後それらが必須のコンテンツが実装されるならば、個人的には窮屈だと感じてしまいそうです。一応開発チームは、ソロでもマルチでもプレイできるが、ソロプレイを重視した作りにしていると発言しています。しかしクランも重要な要素とも言っているため、不安もあります(特にこのタイミングでディアブロイモータルにクラン参加必須コンテンツが実装されるので…開発チームは別ですけど)。

オープンワールド

D4をオープンワールドにしたのは賛否あると思います。というのも過去作から想定されるエンドコンテンツがダンジョンと街の往復であり、それ以外のコンテンツは冗長とみなされてしまうからです。
しかしオープンワールド化により、ディアブロの世界であるサンクチュアリに対する解像度が高まり、より深く浸れるようになったと思います。

フィールドにはところどころ死体が転がっていますがそこにカラスや狼が群がっていたり、あたり一面雪景色の中生えている植物を鹿が集まって食べていたりと、世界そのものが確かに存在していると感じられました。
またゲームクリアのためには調べなくてもいいオブジェクトも、話さなくてもいいNPCも多くいます。しかしそれらのひとつひとつが、サンクチュアリの世界に命を吹き込んでいて、没入感を高めるのに一役買っていました。

QOL

OBT時点においては、以下のような細かいQOLでの不満はありました。これらはいずれ解消されるものと考えていますので、ご参考まで。

  • 移動速度の遅さ
    街やワールドボス戦(などカメラが引く場面)においては、デフォルトで1.5倍くらいの移動速度でも良さそうな気がしました(キャラクターの育成要素で移動速度上昇はありそうとはいえ)。
  • エリア切り替えの引っ掛かり
  • 保管箱の自動整理がない
  • 装備の特性で付与されている値と可変値範囲が離れていて見にくい
  • 未翻訳の部分や整合性の取れていない翻訳がある
    正直公式で日本語化してくれるだけでも御の字です…。
  • ビルド保存
    D3ではあった機能です。D4ではスキルリセット有料だからって実装なかったら辛いですね。

 

OBT未実装のため評価できない項目

  • バトルパス(課金システム)
  • パラゴン
  • ヘルタイド
  • エンドコンテンツ
  • トレード

開発者チームから情報が一部公開されました。詳細はこちらの記事をご覧ください。

 

D4プレイ前にシリーズ作品をプレイするべきか否か

D4をプレイ予定の方でシリーズ作を未プレイの場合、プレイしておくべきかお悩みの方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、D4からのプレイでもまったく問題なく楽しめる作りにはなっているため、シリーズ作はプレイ必須ではありません。

ストーリーや登場人物を理解するにあたっては、過去作をプレイしておくことの意義は大きいです。特に三大悪と称されるディアブロ、バール、メフィストなどについて知っておくことは世界観の理解に役立ちます。

またゲームシステムやバランスはシリーズ作それぞれで少しずつ異なるため、過去作での知識が直接役に立つということは少ないかもしれません。ただし、キャラクターのビルド(スキルや装備の選び方、あるいは組み合わせ)の考え方に馴染んでおいたり、各クラスの定番スキルを知るという意味では役に立ちます。

D2RもD3もオリジナルは10年以上前の発売だったり、もとはPC版で後からコンソール版が発売されたという経緯もありますので、欠点はあります。万人受けするタイプではないかもしれませんが、それでもなお現代に通用する面白さも備えているゲームです。D3やD2Rは今でもアップデートが続けられており、2023年4月現在 D3はシーズン28、D2Rはラダーシーズン3が開催中です。アクティブユーザーもそれなりにいて攻略情報も豊富なので、興味のある方はプレイしてみることをおすすめします。

 

公式、OBT終了から3週間で改善内容を発表

ユーザから寄せられたフィードバックに対し、いくつかの内容についてはすでに公式からの対応が発表されました。詳細はこちらをご覧ください。

 

あとがき

この記事では、ディアブロ4OBTをプレイした感想を綴ってきました。ずっと開発状況を追ってきたゲームがこうしてプレイできる形になり、そして期待を裏切らない出来だったことをとても嬉しく思います
開発チームの皆様は、発売まで残り2ヶ月しかなく佳境を迎えていることと思います。お体を第一に、無事発売の日を迎えられるよう願っています。